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ずっと元気でいてね!と約束したはずなのに・・・突然起こった手術の決断!飼主の責任の重さを実感しました(ー_ー;)




◇「二つの方法があります。このまま様子を見て治療するか、手術をして取るかどちらかです。
  但し、このままだと必ず再発しますので、再発の時はもっとリスクが大きいです。
  手術をすると悪い部分は取りますが、大きな手術です。年間この手の手術では何頭も亡くなって
  います。どちらにしてもリスクは大きいですが、手術をした方が長生きします。」

◆「交配をさせたいのですが」

◇「交配は出来るとしても、もし妊娠しても、普通の状態で生まれるかはわからないです。」

◆「わかりました、交配は諦めます。」

◇「どちらにしますか?」

◆「取ります。」

           この短い会話で、私は重い決断をしたのだった。。。。
2003年10月1日
【えっ?さくら!どうしたの?白いのが出てるよ!!】
さくらが夜中に外陰部を舐めていた。よく見たら、先端に白い液体がタラリと流れてきた。体調は、元気もあり、
食欲もあり、いつもと変わらない。今期の発情不順の影響だよ、きっと。


10月3日
【さくら、まだ出ているの?】
さくらのペロペロが頻繁になった。ティッシュでその分泌物を採って、よく見てみた。
今日はうっすら黄色にも見える。これは間違いなく膿だ!この症状は何?私は本で疑わしい病気を調べた。

子宮の病気は・・・『血が出る』『膿が出る』『粘液が出る』に分かれ、膿は・・・子宮蓄膿症?!・・・
えっ!まさか!少し不安も出てきたが、さくらに限ってそんな病気になる訳ないじゃん!


10月4日
【さくら、病気に間違いないかも・・・】
知人に「子宮に炎症を起こしているから、すぐ摘出した方がいい。破裂すると大変だよ」と言われた。
マジ?さくらがホントに病気になっちゃったの?子宮の病気は、繁殖させない雌犬の方が発症の可能性は
高いと言う人もいる。ついでに、取引のある病院を教えて貰った。身近な病院より、明日の休診日を待って、
明後日その信頼のおける病院に行ってみる事にした。


10月6日
【さくら、手術する事になっちゃったよ・・・】
即行定時に帰り、さくらのトイレを済ませ、ドライブ気分のさくらを乗せて、車で35分の病院に行った。
簡単な受付表を記入し、口頭で「診察台に乗ると危険です。」と追加説明もした。
予想通り豹変したさくらに対し、強烈な消毒薬の匂いの口輪を渡された。「この子が手術になったら大変だろう
なぁ」と背中で声がした。

看護婦さんを一人をつけてくれ、外でかぶせるように言われたが、中々難しい。看護婦さんが見ている前で、
左手でリードを持ち、言われた通り、右手で口輪をまわし頭の後ろで留め金を止めるのは簡単ではない。
仕方なく「自分ひとりで散歩しながら止めてきます」と病院から出た。口輪の構造をよく見たら、ピンと来た!
まず留め金を止めて頭からかぶせ、口にかぶせる部分を口の下に下ろし、下からチョイッと持ち上げて口に
はめればいいんだ!考えた方法で案の定簡単にできた。戻りたくないけど、早く戻ろう。。。


口輪写真


血液検査の為採血時は保定を補助し、レントゲン時は待合室で待っていた。「ドタバタ音がするかもしれま
せんが、気にしないで下さい」と言われたけど、ここは冷静に覚悟を決めるしかない。私は他のやワンコや
飼主さんの接し方を見ながら待っていた。

結果が出るまで1時間程待ち、医師との会話が始まった。レントゲンは鮮明には写らず、ボンヤリした影が
あるようだ。血液検査の結果も、人間のように標準値との比較も出ている。
現状では炎症だと言われ、そして上記の決断の会話となった。結論は開腹してからの状況で処置を判断する
事になった。麻酔薬はケタラールでお願いし、3日間の入院となった。

診察カードではなく、健康手帳を渡された。しかも、表紙裏に飼主さんと一緒の写真を貼るように書いてある。
後で見ることにし、それより今夜は子宮蓄膿症も詳しく調べてみよう。(診察代17,500円)

子宮蓄膿症(シキュウチクノウショウ)
〈英〉pyometra 〈独〉Pyometra 〈ラ〉Pyometra
子宮腔に膿汁が貯留し、排出しないものをいう。牛と犬に多い。化膿性子宮内膜炎に継発するものが
多い。牛では胚または胎子が早期死滅し、そこに細菌感染が起こって発症するものも多い。犬では
プロゲステロンが深く発症に関与するとの報告もある。牛ではその多くが卵巣に遺残黄体(永久黄体)
が存在し、発情を示さないため妊娠と間違えられやすい。本症と妊娠との類症鑑別が重要である。
牛の本症の治療は、プロスタクランジンF2αを投与し遺残黄体を退行させ、子宮頸管を開口、排濃さ
せる方法がある。犬では細菌毒素による腎不全や肝機能障害から生命にかかわる状態となるので
卵巣子宮全摘出が必要となる。⇒化膿性子宮内膜症、子宮粘液症
子宮の病気は、子宮外膜炎から始まり、子宮内膜炎、子宮脱、子宮内反・・・といろいろあった。

10月7日
【さくら、頑張って早く治そうね】
いつものペースと違うので、ストーカーさくらはどこにでも着いて来る。
これから降りかかる状況なんて知らないのがかわいそうな気もする。そそくさ出かける準備をしたら、さくらも
連れて行けと言わんばかりに、足元で鳴いている。連れて行くのは当たり前なのに・・・

家から付けてくるように渡された口輪は、病院でつければイイヤ・・・しかし、平日に天気の良い日は、なんて
周りが穏やかに時間が流れているんだろうと感じした。車内でも、相変わらずさくらはネコを見て興奮し、
自転車を見て顔を覗き、尻尾はブルルン振り回していた。病院に着き、口輪をしてすぐ診察室に入った。
抱きかかえたら背中の毛がモサモサと立った。体も震えだし、さくらの心境はやだよ〜〜!に違いない。
「お預かりします」とあっさり言われ、昨日見たいとお願いした立会いも、麻酔だけならと言われたけど、
出されてしまった。

午後から仕事に着きひたすらに3時を待ち、状況確認の電話をした。手が離せないとの事で、後から電話が
かかってきた。麻酔を多めにしたので、ずっと様子を見ていたので電話に出れず謝罪とこれから1日は、手術
によって細菌が発生し、その中で急激に強烈な細菌が体内に発生する可能性のある時間だと言われた。
この症状が、万が一術後死亡する可能性の出る分かれ道で、今暫くが重要な時間なのだ。
手術事態は簡単で30分と短時間だが、これから1日は私も安静になってしまう時間のようだ。そんな説明
を聞いてしまったので、電話を入れた事が逆に不安にもなった。

仕事が終わって、さくらに面会に行った。2畳程の入院スペースは、左右に4個、上下2段のケージが置かれ
ており、さくらの天敵のネコも一緒だった。入り口のドアをそっと開け、医師が指差した先には、下の段の奥か
ら2番目に、ブルーのカラーをつけたさくらが目を開けたまま、うずくまっていた。目が合わないように隙間から
見るさくらは、真っ白な体で黒い瞳で、とってもかわいく見えた。まだ麻酔が切れていないさくらが、匂いを嗅ぎ
出したと言うので、吠えてはいけないとすぐドアを閉められてしまい、面会は1分もなかった。

その後医師から、摘出した臓器と、再度レントゲンとで説明を受けた。良く映って無かったが「ここの部分が
膿が溜まっていました。」摘出しかなかったらしい。ここで初めて病名が子宮蓄膿症だと分った。
動物病院でも臓器と写真のどちらかは長期保存しているので、写真を貸して欲しいとお願いした。
グロテクスなので画像編集したけど、左側にモコモコしているのが膿が溜まっている部分で、右側にも出来始
めていた。
摘出臓器写真

すると医師から、「本当は3日間の安静が必要なので入院させたいのですが、この子は入院していると、精神
的に良くないし、超音波は勿論点滴等の治療もさせてくれないので、明日お返しします!」と言われた。
ずっと付きっきりで見られないので、戸惑う私に、再度分りやすく説明した「この子は、入院と家では、絶対に
家の方がいいです。」「見てあげられないのなら、いいですか?見てあげられる入院より、見てあげられない家
にいる方がいいです。」大人しく入院している他のネコやイヌ達と同じようにならない・・・
術後24時間は側に置き様子を見ると言っているので、納得せざるを得なかった。トイレも外でしかしないが、
かわいそうだけど、仕方ないと言われた。

生まれたままの姿で守ってあげられなかった事が切なかった。もっと早く何とかできなかったのかと反省しな
がら病院に向かったが、帰りは、現実を受け止めできる限りやってあげればいいんだ、と思えるようになった。

10月8日
【さくら、迎えに来たよ】
既にさくらは診察台に乗って、看護婦さんに押さえ込まれていた。
下腹部の縫い目はきれいだと言われたが、私から見れば痛々しかった。「大丈夫でしょう。」と言われた途端、
さくらは診察台から飛び降り、私の足元に隠れた。「元気はありますねぇ。」心配したトイレは、約2日間でおし
っこ1回だけ、排便は無し。すぐ外に連れ出したら、長いおしっこをした。

一旦さくらを車に乗せてから、薬を貰い支払いをした。(診察代41,640円)5日間朝夕服用する液体の薬はク
ラリコナマイシンだと聞いたが、マイシンは抗生物質だけど、その名称では良くわからないので、未だに成分
が不明だが、肝臓が弱くなるのを防ぐ為に使用する事になった。しかし、錠剤でも液体でもどんな薬もいい子
に飲めるさくらだったのに、この薬だけは素直に飲ませてくれない。かなり匂いもきつく、手を咬まれながら飲
ませた。散歩は良くないので、家の付近を往復してトイレを済ませ、さっさと家に入った。

無茶な行動をしないか心配だったが、状況はさくら本人が一番わかっているようで、定位置のソファーで丸く
なっているだけだった。ソファーから下りる時も、昨日まで飛び降りていたのに、モゾモゾとクッションを使用して
ズルズル下りている。言われた通り、水を多めに、ご飯は嘔吐を防ぐため少量を数回に分けて与えた。

10月9日
【さくら、いい子にしているんだよ】
とにかく、あと2日は安静が必要だ。今週は毎日通院しなくてはいけないので、精神的にも大変だ。
今日は午前中指定の診察なので、仕方なくさくら同伴で出勤し、仕事の段取りだけをやっつて、そのまま病院
に行った。

病院に着くと、さくらは既に車内でヒンヒン鳴き出した。診察台に上げる時に、ビビリションもしてしまった。
「この子怯えてオシッコするんですよねぇ」と言われた。へっ?さくらが、いつもビビリションしてたの!
(診察代7,500円)
家ではずっとソファーで過ごしているらしく、障子も開けないし、おもちゃも一つも持ち出していない。食欲旺盛
なのは、季節か薬かまたは絶食のせいかはわからないが、とにかく毎日良く食べる。そしてバナナのような
ウンチをしたのは驚いた。それもプレシャスバナナのように立派だった。今は静かに時間の経過を待つ事に
しよう。
明るい所で傷跡を見たら、体毛を剃った範囲が広いのと、普段見えないおヘソが丸出しなので私は、びっくり
したり感激したりと忙しかった。

剃毛の写真傷口の写真1


10月11日
【さくら、スゴイじゃん!】
ドドドドが始まった!廊下や床を駆け回る足音が、伸びた爪のカチャカチャとドドドドの両方が響いている。
術後4日目なのに、改めて動物の治癒能力に感心した。元気になっていくさくらを見ていると、この決断は間
違っていなかったと思った。


10月14日
【さくら、いい子にできたね】
苦手な薬が終わったと思ったら、まだ外陰部の腫れが引かないので、更にあと5日この薬を飲ませる事になっ
てしまった。運転しながら〈薬・副作用・発症の原因・散歩・食事〉と確認事項を手のひらに書いて来たので、そ
れを見ながら質問をした。遺伝・体質もあり、環境とは無関係とも言っていたが、これ以上は聞けない雰囲気
だったので諦めた。医師によって、扱いはイマイチだが情報は文献まで出してくれる方もいれば、その逆の場
合もある。でも、傷口の周りの皮膚が赤くなり、皮内は内出血のように青く見えたので、「青タンが出来ている
んですが」と聞いてみた。「青タンって何ですか?」と返ってきた。それは問題なくて良かったが、話が通じた
事がもっと良かった。(診察代5,000円)

回数を重ねる毎に、さくらの受診態度も目に見えて良くなった。顔はこわばって、体も微妙に震えているが、
ちゃんと前を向いて立ち、医師に任せるようになった。帰り道コンビニに寄り、さくらが逃げ出さないように、車
のドアを少しだけ開け、雨に濡れない様に急いで車に乗り込もうとしたら、ドアの角に顔面を強打した。
「私も痛いよ〜〜〜〜〜」

10月18日
【さくら、もう大丈夫だよね】
通院も、数日間があると、道のりも長いと感じた。
相変わらず、口輪をして診察室に入るのだが、さくら以外に口輪をしているワンコはいない。
さくらも、必死で両手で外そうとしているし、口輪の下側はさくらの垂らしたよだれで湿っぽい。いつも呼ばれる
まで車の中や玄関先で待っているのだが、他のワンコが1.2頭だったので、待合室で待つ事にした。そんな
状況でもさくらは、必ず人間用のソファーによじ登り、ちゃっかりお座りするのだ。まぁいっか・・・
体重測定12.88kg、傷跡と外陰部の診察も問題なく、順調に回復している。

傷口の写真2
今度は一週間だ。

10月25日
【さくら、よく頑張ったね】
今日も前回同様の診察で体重13.33kg。特に問題もなく、今後の生活で注意する事は、何にもないとの事。
やっとこれで治療が終わった。(治療費合計1日入院含め71,740円)今後は、体重は増えてなくても太る場合
もあるため、1ヶ月毎に通院する事になった。
以前のように元気になったさくらは、時々ターボ全開になるが、それが嬉しい今日この頃なのだ。

                            −後 記−
約1ヶ月の時間の中で、今迄に一番さくらを見ていた気がした。でも、大きな反省が一つだけある。実際には
5月末からの生理が後半から不順になっていたのだ。黄体ホルモンが過剰に分泌されて当然かもしれない。
その間他の病院に行き、発情不調だが心配はないと診断され、念の為に抗生物質を服用していたのだ。
後になって、この症状は、薬を使っても、同じ事を繰り返し、最終的には手術になるものだとわかった。
知人に相談し、良いアドバイスを貰えた事に感謝しつつ、どちらにしても、この結果になるので後悔はしていな
いが、交配に失敗し、さくらの体調が戻るまでに時間がかかったのも事実。その後発情の度に、覚悟を決め
るのが大変だった。今期も交配相手のお見合いも密かにしていたのだ。今更ながら、自分の勇気の無さが
唯一の反省なのである。

今回、自分なりに気づいた事もある。それは、命あるものは何かしらの役割を持って生まれてき、その中で
さくらは、癒しとか楽しさやそんな類のものではなく、きっと、私にとっては、こうだろうと思った。それは、犬の
命は短いけれど、それを飼う人間にとっては、一人の
人間の生涯をずっと見守る事ができないので、犬を通じて、その
生涯を見させてもらい、いろんな思いや考えを与えてくれる(実物で教えてくれる)為に短い命なのかな?
そしたら、何があっても大変だと思わず”有難う”なんだな〜って思えた事だ。



その後
2004年1月21日

術後3ヶ月半のお腹の毛は、短いけれど完全に生え揃った。