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序 章 1998.9.23以前から楽しみにしていた子犬が配送会社に届いた。犬種は迷わず本で見た紀州犬!あの凛々しい犬が私の犬になるんだあぁ「愛玩用だけど頭が大きいもの」と頼んでおいたんだ。

引取催促の連絡があっても、中々迎えに行けず、心の中でワオーンと叫んでいた。仕事中、電話を取る時は「ハイ、ワンワンです」と言ってしまうくらいだった。書類を渡す時に手を出されると自分の手を乗せて「お手!」をしたくなるほどだった。

やっと夜になって車を飛ばして隣の県までぶっ飛びー!
高まる胸を押さえつつ、小さなケージから小さな子犬を取り出した。私は「な〜んだ、こんなんか・・・」と最初の言葉。本当にガッカリ・・・だって頭が大きくてごっついイメージがあったのに、届いた子犬は肝心の顔が細い。「あ〜ア、顔が違うじゃん、な〜んだ」の連発。

朝から新しい飼主を待っていた子犬は、散々待たされ、やっと現れた飼主に自分を気に入ってもらえず、ガッカリしている態度をしてやがる。自分が責任持って飼う初めての犬はお気に召さないこの子犬・・・・
       
三重県からこんな茨城まで親兄弟と別れて私の元にやってきたこの子犬は、長旅の疲労と1日中食事も与えていないためか小刻みに震えていた。「どれどれ・・・」と抱いたその時、小さくグッタリしている体から確かな温もりを感じた。”一つの命を預かったんだ”

帰りの車中でも反応無しのグッタリモード、おまけに家についた途端ゲロゲロゲロ。「大丈夫かな〜、本当に育てられるかな〜」部屋にも入ってこず廊下でジ〜〜〜としている。つぶらな眼差しはこっちを見てもどこか遠くを見ている。今日は遅いから寝なさい!

心配をよそに翌日からストーカーのようについて来る。これが人間だったら警察に届けたいくらいヒタヒタとついて来る。それも隠れもせず堂々とだ。「すっげえ〜かわいいじゃん」ものすごく甘える、完全に頼られている。反応がかわいすぎる。

紀州犬ってこんなんでいいの?兄弟も似ているのかな?親犬はどんな犬なんだろう・・・こんなにかわいい犬を産んでくれた母ちゃんも見たい・・・
あと4人の兄ちゃん、姉ちゃんはどんなふうに育っているんだろう?

会いたい、会いたい、と思いは募るばかり。やっぱり一度見に行くしかない!探すしかないんだあぁぁ!

第1章 波乱万丈聞込調査

血統書があるじゃあ〜りませんか!簡単にわかるじゃん、と思っていた私は間違っていた。バイヤーが入っているのでわからないと言う。普通そこまで調べない・・・とも言う。私は普通じゃないもーん。

ますます調べたくなった。そうだ、血統書に雌親の犬舎の住所が書いてあるはずだ。電話だ、104だ。本人の希望で案内はしていないと言われた。何でしてないのだろう・・・(そう言えば私も止めてある)。売主さんに聞く事再三。雌親の持ち主は引っ越して、既に犬を手放していたことがわかった。調査は開始後すぐ難航した。そんなにわからないものなのかよぉぉぉー。どこにいるんだよ〜

第2章 親切感謝情報収集

この話しを聞いてくれたインテリアタカハシの高橋さん(PCの師匠でもある)が、即効、動いて下さった。
kuroさんが調べてくれた。凛々しいさくらのおじいちゃんの写真を送ってくれた。天然記念物紀州犬の赤井さんが売主さんの場所を詳しく教えてくれた。さくらのお友達のメル友も応援してくれてる。ウッ感動
でも、親兄弟は全くわからねえー

これは、一度三重県にいくしかない!前から、さくらがやってきた三重県に行きたかったんだ。去年の目標ベスト10にも掲げてあったのだ。いいチャンスだ。情報収集に行ってくらあー。


第3章 異国突入行動開始 

年末の忙しい中の休暇届「理由:三重県に行く為」オー、承認されたよ。フッフッフ。愛犬の故郷に行くとは書けねえぜ!・・・

ン・・・三重県ってどこ?関東ではない、確か関西の方だったよな。行った事ないし、紀州犬を飼うまでは、紀州と言えば梅干しか知らなかった私が三重県なんて異国の地だよ。日本地図に載ってるのかヨ。成田から外国に行った方が近いんでないかい?

とにかく教えてもらった名古屋まで新幹線で行けばいいんだ。あとはPCで調べれば何とかなるべ。本物の紀州犬に会えるかもしれない!さくらの親兄弟の情報も進歩するかもしれない。

ゴー・ゴー・レッツゴー・三重!
 
第4章 胸踊心楽移動中

朝5時半に目覚ましをかけたのに、その前に起きられた自分にびっくり!既に起きていたさくらと目が合って更にびっくり!こいつは一体何時ごろ起きてるのだろう…でもそんな事考えてる暇はないので、「三重県に行ってくるね」と口の固いさくらに耳打ちして栃木県の小山駅に車を飛ばした。

7時すぎの東北新幹線に間に合った。
車内に入りまずお化粧の続きをして、都こんぶを食べながらシートに置いてある雑誌を読んだ。
旅には赤い箱の都こんぶはつきものだ。(と勝手に思っている)あっという間に東京駅。続いて東海道新幹線に乗り込んだ。やっと落ちつきお楽しみの駅弁だ。一緒に買ったお茶も缶じゃなくて旅の情緒があふれるあの容器だ。そのお茶のボトルを窓際に置くといかにも旅情をそそられうれしい気もする。

駅弁を完食し、続いてここでもシートに置いてある雑誌を見ようとしたら、これが不思議なもので、東北新幹線の雑誌は心和む旅の雑誌なのに、東海道はお堅いビジネス雑誌じゃあ〜りませんか。何もここまで来て見たくないのでやめたっと。黒タイツにさくらの白い毛が数本へばりついているのに気づいたが、今日はこのまま三重まで連れて行ってやろうとアホらしい考えも持てたりした。

うとうとしていたら急にお腹が痛くなって席を立ったら、富士山がバーンと現れた。雪をかぶった富士山は美しかった。辛いけどこの一瞬を見逃さなかった今日の腹痛はありがたくも思った。10時過ぎ名古屋到着、名古屋はすごく寒かった。今冬初めての雪を見てうれしいけど、体に染み入るほど寒いところだった。名鉄百貨店だって?初めて聞いたよ〜。

ここから各駅停車のどん行だ。地元らしい人達で穏やかな雰囲気の電車だった。向かいのおじさんに亀山までどのくらいの時間かかるかと聞いたら、駅員さんに聞くと教えてくれるよと言われたけど、どうせアナウンスするだろうと座っていたら、そのうちおじさんが急に立ってしばらくして帰って着た「1時間少しかかるって」わざわざ聞きに言ってくれたのはうれしいけど、そのあと直ぐにアナウンスがあったのでちょっと気まずくなり、お互い聞こえないふりをした。

それよりこの電車は不気味だ。ドアが開くと普通シューって音がするのに、はぁ〜って声に聞こえるのだ。各駅停車なのでその男性の低い声の「はぁ〜」を何度も聞くはめになった。
 
気分転換に辺りの調査をした。碁盤のような網目のかつらをかぶった人もいた。手作りかつらかな?窓から見える風景が全然違う、家の造りが違う、それも全体的に歴史を感じる家だ、石垣塀も多い、鉄塔の形も小さくて異様だ、外灯もへんてこな形だ、庭に紀州犬が繋いでいる光景も楽しみだったがあまりいない。

雪をかぶった山が見え、大きな川のグリーンの橋も渡った。赤いラインの倉庫も通った。デジカメで写真を撮っていると、向かいのおじさんが見たそうだったので、わざと見られようにしてあげた。そんなこんなでとうとう到着したのだった。

ジ〜〜ン「本当に三重まで来たんだ…」


第5章 嗚呼感動異国参上

いざ突入!さくらを買った所にまっしぐら。さくらが私の存在をしらない時に短時間でも過ごした所だ。そこには紀州犬の子犬が10頭以上いた。まだヨチヨチの幼稚園組や少しおすましの小学生組、有色紀州犬秋田犬、柴犬もいた、オール日本犬だった。もう興奮せずにいられない!この光景を見られただけでここまで来た価値が充分あったと思った。

とにかく犬を抱きまくった。さくらが来たときと同じような大きさで、とっても懐かしく、すごく嬉しい。あの日のさくらを抱いているようだった…子犬の耳と口の匂いをいっぱい吸い込んでご満悦の私。初めて触れた有色紀州犬はkuroさんの叔父さんとこから来た事を後から聞いて驚いた。

オーナーに飾ってあった写真や置物について見たり聞いたりした。日本犬写真集も1冊買った。もっと欲しかったけど1冊4,500円だったので諦めたのだ。高橋さんがわざわざ持参してくれたさくらの血統書が机の上に置いてあった。でも肝心な親兄弟の行方は相変わらず進展しない…雌親は飼主がその犬を置いて引っ越してしまい、子犬も業者が入っているのでわからなかった…身内探しは本当に難しかった。

1時間以上経過し、その後近くの繁殖家のお宅に連れて行ってくれた。近いわりにはドンドコドンドコ山を走り40分はかかった。途中で民家の庭にいた紀州犬を3頭見ることもできた。雪が更に強くなり広大なお茶畑に積もってきた。道路がすべり止めに何か埋まっていた。

やっとこ着いたそのお宅は住宅地なのに紀州犬が3頭もいて、柴犬もいた。はじめて見た骨格のしっかりした雄の紀州犬、そして雌の大きさにもビックリ!雌2頭共に子犬が生まれていた。1頭は生後1ヶ月弱が6頭、ムクムクした子犬ばかりで、ちっちゃいのに凛々しい顔をしていた。とにかく素晴らしい子犬だった。

そのミルクの匂いがする赤ちゃん犬を全部抱かせてもらった。その中で特に逞しい雄が特に気に入ったのだ。もう二度と会えないこの子犬はよりいとおしい…Butその子犬の飼主になったのは何とkuroさんだったと後で聞いてビックリ!もう1頭の雌ははまだ数日前に生まれたばかりが4頭位いた。この場を離れたくなかったけど、子犬が元気に育つよう祈って帰って来た。

さくらの身内の情報は成果がなかったけど、紀州犬をこれだけ見られた事に感動した。と共に知らないどこかにいるさくらの親や兄弟4頭には、会う事ができないのだろうかと空しくなった。とりあえず情報を得るためだけでもと向かった三重は自然がいっぱいで穏やかな所だったけど、身内の情報には冷たい雪を降らせた所でもあった。でも、20世紀の最後に私は大きな思い出を作る事ができたのであった。



第6章 旅情写真一挙公開
 東北新幹線は旅雑誌  朝食はお楽しみの駅弁だい!  おっ、富士山だ
 東海道はビジネス雑誌  やっと名古屋に着いたじょー  紀州犬が似合う風景
 ここがさくらの犬生の出発地  帰りはエビフライをやっつけた  異国の旅記念の本


       残念ながら犬の写真はないのですが、心のアルバムには納めてあります。
         だって殆どが移動時間なんだも〜〜ん!
         何か情報が判りましたら、ご一報下さい。会いに行きます(駅弁を食べにってか?!)

おわり

第7章 長年経過奇跡願叶

この頁を公開して早15年。あれから色々な事があった。そして、おわりで締めたこの頁に続きがあると、自分でさえ思っていなかった。

2013年1月、このHPを見て下さった方から、件名が姉妹犬では?のメールが届いていた。おバカな私は、メールの確認が数ヵ月遅れてしまい、まとめて確認している時に、一瞬にして固まった。そして、すぐにドキドキが激しくなった。何だか、少し涙が出た。

岐阜県の方で、親切に血統証を添付して下さった。
両親も誕生日もぜ〜んぶ同じだった。間違いない!片親が同じだとしても大発見なのに!
こんなに時間が経って、より情報も皆無だったのに、まさか、一緒に生まれた姉妹犬がいたなんて!
こんな広い世の中で、その存在を知って、その飼主さんから直々に連絡を頂けるなんて。奇跡だ!

思い切って、さくらのお姉さん(登録番号が若い)の飼主さんに電話した。入手先で確信を持った。さくらのお姉さんはヒメちゃんといい、さくらの写真がヒメちゃんに似ていると思われていたが、深くは見ず、子犬を入手してから改めて見て、気付いて下さった。感動と大きな感謝に、今度はいっぱい涙が出た。

ヒメお姉ちゃんは、H23年6月に虹の橋に行っていた。さくらにもちゃんと伝えた。残念だけど、とっても嬉しい事があったのはさくらも分かったに違いない。

こんな私を支えてくれた皆のお陰で、なんとかHPを更新できたからこそだ。地道な積み重ねが、願いを叶えてくれたのだ。そんな事もあり得るのだ。心より深く感謝いたします。